研究代表者から

少子高齢化などで労働力の減少が危惧されている今日,働く方ひとりひとりが長期的に能力を発揮し活躍することが,これまで以上に大切になってきました。そのためには,こころと体の健康を保つことが不可欠であるにもかかわらず,「仕事で不安やストレスを感じている方」は60%を超えるのが日本の現状です。

特に小さなお子様を持ちながら働かれているご家庭では,仕事のストレスだけでなく,お仕事とご家庭のとの間で“ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和、以下WLB)” の難しさを感じ,悩んでおられる現状も認められます。また一方で,そのような困難さと同時に,ご家庭を持ち,お子さんを育てながら働くことで得られる多くの効用もきっと感じていらっしゃることと思います。

そこで,私たちの研究チームでは,「ワーク・ライフ・バランスと健康」プロジェクト,通称TWIN study(Tokyo Work-life Interface)を立ち上げ,保育園にお子様をあずけながら仕事に従事している共働き夫婦を対象に,仕事と家庭生活との接点が健康に及ぼす影響を継続的に検討しています。

TWIN studyは,2008年から2年間にわたって行われた TWIN study I, 2010年から5年間にわたって行われたTWIN study II,そして2015年から実施しているTIWN study IIIがあります。

TWIN study Iでは,2008年秋時点でお子様を保育所にあずけていた都内某区内の共働き

夫婦約3000世帯が調査に参加されました。夫と妻それぞれの働き方,ワーク・ライフ・バランスのあり方が健康にどのような影響を及ぼすのかを検討した大規模な研究でした。

TWIN study IIでは,2010年および2011年秋時点でお子さまを保育所にあずけていた都内の2つの区在住の共働き約660世帯に参加登録いただき,父親-母親-子どもの3者関係をワーク・ライフ・バランスに注目しながら3年間追跡調査しました。

2015年から始まったTWIN study IIIでは,ワーク・ライフ・バランスと健康の向上を図るためのプログラムを新たに作成し,その効果を無作為化比較試験によって検討することを目的としています。

TWIN Study I・II・III を通した研究によって,ワーク・ライフ・バランスがご自身やご家族の健康に及ぼす長期的な影響が明らかされ, 仕事と家庭とを両立しながら働く方とそのご家族を支援するための 効果的な方策を見つけ出すことが期待されています。

北里大学人間科学教育センター 教授
島津明人